さて、新潟産コシヒカリである。出来秋当初では産地置場2等15,600円(関東着値15,900円)でのスタートで産地サイドはおずおずとした売りとなった。「シラタ主体の2等で需要サイド、ひいては消費者に受け入れられるか?」という不安と「トップ銘柄としてのブランド力が損なわれるのでは?」という懸念からスタートした売り打診だった。一方で現物が届くとともに需要サイドは慌てた。「このグレードで量販店が納得するか?」とうことで、売価はすでに決まっているため「玄米のサンプルと、精米仕上がりサンプルを3点ほどもバイヤーに提示し売価とグレードを調整し、なんとか納入の了承に漕ぎつけた」という。需要サイドは「バイヤーとの調整段階で一定以上のグレードに仕上げる、と決めたその時点で特売を諦め、それによる販売減は折り込み済みだった」という。もっとも以降の取引は滞りなく進行し、産地サイドも不安や懸念は杞憂であったと胸を撫で下ろした。
しかしどうしたことか?新潟産コシヒカリはその後、年末から年明けに至って産地からの売り物が少なくなり、また売り指値が上がり、当社での取引価格も出来秋当初から1月末時点では400~500円も上がってしまった。需要サイドは首を傾げた「作柄は兎も角としても作況レベルでは潤沢なはず。どうして産地からの売りが少なく、売り値を上げるのか?訳が分からない」との声が続出した。
さて直近の出来事である。先般の取引会で売り提示された新潟産コシヒカリ(全域)の数量は約1万6,000俵、JA玉が約1万1,000俵、商人玉が約5,000俵だったと伝え聞く。どのくらいの成約があったのかは聞いていないが、提示された数量としてはかなり多いように感じられる。因みに当社の2月の成約量は下のグラフの通りで「トホホ・・」である。
まず大枠として当社の年間の扱い量は30年産で一般地区が50,852俵、佐渡・岩船産が5,845俵、魚沼産が10,336俵、新潟コシヒカリ(全域)で66,918俵となる。そしてこのほとんどが商人玉となる。
グラフだが、新潟産コシヒカリ(一般地区)での集計とした。元年産と前30年産の月計のグラフだが9~11月までは元年・前30年産ともに、それほどに変化はなく、累計でもそれほどの変化は見られない。しかし12月以降は1月が前30年並みではあるものの12月と2月については大幅に落ち込んでいる。2月末時点での累計では前30年産が34,503俵であったのに対して元年産では25,407俵と前30年同期比は9,096俵減、累計値では74%と進捗の遅れが著しい。
さらに試みとして、不作だった30年産、作柄は兎も角としても作況が良かった元年産、そして豊作だった28年産の取引相場をグラフとした。現状では当社での売り物は商人玉を主力として売りが溢れて下がり基調にあり、さらに以降はJA玉を主力とした卸サイドの余剰玉が市中に流れ込むことがほぼ確実である。(夷)